スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

がりことぐれ猫たち〜猫の生き方〜



サブローさんは、他の猫たちより体格がひと回り大きく、骨格もがっしりとしている。顔面には、大きな傷痕があり、ドスの効いた低い唸り声と合わせて、一目でその筋の猫を思わせた。その筋の猫とは、この辺りで縄張り争いをしている野良猫ギャング団だ。
見ると4、5匹の子分たちを従えているので、その風貌といいギャング団の親分であることが見てとれた。

「うう~うぎゃあ~」
先に猫ばあの用意したご飯を食べていた猫たちは、サブローさんが一声唸ると、慌ててご飯の前から退いた。

あたちもサブローさんに少しビビっていたが、あんずちゃんは、それに一向にお構いなしでいるので、あたちもそれに従って、様子を見ていた。

「にゃぎゃあ!あんずじゃねえか」
「その一緒にいるねえちゃんは、どこのどいだ?」
サブローさんがあたを見てそう言ったので、慌てて挨拶をした。

「こ、こんにちにゃ、あ、あたちは…ちくわにゃ…」
「にゃぎゃあ!ちくわだって?…なんじゃ、そのひ弱そうな名前は!」
ビビっているあたちに、あんずちゃんがこっそり耳打ちした。
「サブローさんは、強面だけどにゃ、女には優しいにゃよ」

サブローさんはご飯を食べ終えて、その場に横になって満足げにくつろいでいる。それに引き続いて、子分たちが食べ終え、またその残りを食べ終えた他の猫たちが、ひと息ついて、そこで井戸端会議が始まった。
あたちたちの寿司屋の集会場と同じで、どこにも見かける光景だ。

違っているのは、ここの猫たちはあんずちゃんのような地域猫ではなく、見ると耳カットがないので、みんなは本来の野良猫のようだ。

「最近、弁当屋の三兄弟の姿見ないにゃ?」
「にゃにゃ~、知らないんにゃ?」
「この前、保護センターに連れて行かれたにゃよ」
「にゃにゃ〜センターにゃんて…恐ろしい話にゃ…」







駅に続く大通りに面した所にあるお弁当屋さんに、野良猫の三兄弟が住み着いた。
ビルとビルの隙間に潜んで、通りを通る人間に物乞いして、食べ物を得ていた。暫くして区役所の人間が捕まえに来て、保護センターに連れて行かれた。

「にゃ、保護センター?ずっと安心して暮らせるにゃ」
あたちはこの時、保護センターの現状を知らなかったので、安心して暮らせるものと思ってそう呟いた。
「ちくちゃん、にゃに!言ってるにゃん!」
「保護センターって言っても、一時保護されるだけで、現実はとても厳しいにゃんよ」
「あんずちゃん!それってどういうことにゃ?」

人間の世界には、法律という決め事があり、それに従って生活をしている。あたちたち動物に関しては、『動物の愛護及び管理に関する法律』というものに詳しくその処遇などが決まっているのだ。
所有者の不明な野良猫、迷い猫、犬、その他動物などは拾得物扱いとなり、一旦行政が引き取りをする。その後、それらの動物は、『動物愛護センター』『動物保護センター』で保護されることになる。そこで、それらの保護された動物の所有者である飼い主からの連絡を待つことになるが、連絡がない場合は、新しく里親を探すなどの活動も行われるが、そのほとんどは殺処分というとても恐ろしい運命を辿ることになる。
ここに連れてこられるのは、野良猫や迷い動物だけでなく、身勝手な飼い主のとても考えられないような事情で、持ち込まれることも多いという話しだ。
日本では、年間に三十万頭近くの猫が処分されている。猫の殺処分の方法は、『ドリームボックス』と呼ばれている収容器に、猫を何匹も入れ、炭酸ガスを発生させて、それを吸うことによって窒息死させるのだ。そしてその焼却処分された遺骨は、産業廃棄物として捨てられるのだ。人間も猫も同じ“いのち”に変わりはないのに、何故このようなことが行われるのだろうか。猫の殺処分が減らないのは、無責任な理由で猫を捨てる飼い主がいることと、不妊、去勢手術をしていない野良猫に餌を与える人間がいることも原因のひとつだ。

あんずちゃんから保護センターの現実を知らされたあたちは、その話を聞いて、恐怖で耳が平らになり、尻尾が丸まってしまった。

「ふう〜ぎゃあ!人間て、なんて身勝手なんだ!」
「自分たちが一番偉いと勘違いしていやがるんにゃ!」
サブローさん怒りをあらわにして叫んだ。それに子分たちが同調した。
「そうにゃ!まったく!ボスの言うとおりにゃ!」
「にゃそう言えばにゃ、隣町で聞いた話にゃけど、猫の撲殺事件が起きているにゃんてにゃ」
子分の一人が、隣町で起こった事件のことを話した。
何頭もの猫が公園で撲殺され、犯人がわからないいまだ未解決の事件だ。
「うう〜ぎゃあ!弱い者への虐待にゃ!」
「俺様のこの顔の傷も…うう…人間にやられた、ぎゃあ!」
「俺たちは、他の動物の生存を脅かすことなどしないぎゃ!」
「お腹が一杯になれば満足にゃ、必要以上のことはしにゃい…そうですにゃ」
「まったく!人間にゃんて、信じるもんにゃにゃいですにゃ〜親分」
「人間も悪い人ばかりじゃにゃいにゃ!」
あんずちゃんがサブローさんたちの話に口を挟んだ。
「にゃんじゃ!あんず!お前だって、人間に傷つけられたんじゃねえか!」
「そうにゃけど、助けてもらったのも人間にゃ!」
「だから、あたちはここで人間と協力して生きていくんにゃ」
「人間と共生だってにゃ!笑わせるにゃ!」
「猫本来の繁殖機能を奪われて、何が共生だ!」
「ううぎゃあ!そんなに人間ってやつは、偉いのか」
「あたちたちは、それに従えば、安心して長く生きられるんにゃ」
「あの感染症の予防注射だってにゃ、あんなもんで長生きしたからって何が変わるんにゃ!」
「おれたちは、一生本来の野良猫のままで生きていくんにゃ」
「たとえ病気になって、短いにゃん生で終わろうともにゃ!」
サブローさんが言い放った。

家猫として人間に飼われると、猫から猫への感染症を防ぐためにワクチンの接種をする。仔猫の時に2回接種する。
生まれてすぐの仔猫は、母親の免疫に守られているが、その効果は暫くするとなくなるので、接種することになるのだ。その後は、1〜3年毎に1回接種していくことになる。
それらの効果もあってか家猫の寿命は確かに伸びている。それと反対に何も行なっていない野良猫の平均寿命は、3、4年と言われているが、これは病気や事故など、野良猫は常に危険と隣り合わせで生活していることがわかる。
人間と関わる猫は、ワクチン他に避妊手術も行う。雌猫は子宮を摘出し、雄猫は睾丸を摘出することにより生殖機能がなくなる。
これらは、人間と共存するために、人間が考えだしたことだ。それを受け入れることで、あたちたちは野良猫は、安心で安全な生活を保障してもらうのだ。猫本来の機能を失う替わり、生活の保障を得ることになる。
ひとつ失えば、ひとつ得る。
ひと昔前に比べ、猫の生き方も多様化してきているのだ。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
プロフィール

ちくわ

Author:ちくわ
2010年5月生まれ、茶トラのにゃんこでちゅ。好きな食べ物はおでんの汁にゃ。よろちくわ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。