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がりことぐれ猫たち~あんずちゃんと仲間たち~



あたちが地域猫のあんずちゃんと頑固に野良道を貫いているサブローさんに出会ったのは、ある商店街をふらついている時のことだった。その商店街は近くにできた大型量販店の進出で今ではすっかり寂れた商店街だった。
あたちはお腹が空いていたので、良い匂いのする方に自然と足が向かっていた。そして辿りついた先は、お蕎麦屋さんの店の前だった。



そのお蕎麦屋さんは、お昼の時間でもあったので、店のガラス越しに何人かの人影が見えた。
あたちは何か食べるものがないかと、店の裏側に廻った。その時、勝手口のドアが開いて人が出て来た。あたちは慌てて側に置いてあった積まれたビールケースの脇に身を沈め隠れた。
はじめて会う人間は、どんな人間であるかわからないので、警戒するにこしたことはない。
勝手口から出て来た人は、その入口に置かれた野菜の入った箱を持って、店の中に戻って行った。
何も食べるものが無かったので、その場から立ち去ろうと、体を起こして方向転換した時、あたちの頭に何かが触った。見上げるとそれは掲示板を支える白い支柱だった。
その掲示板には、町内会のお祭りや小学校でのバザー開催を案内するポスターが掲示されている。その横に何かの写真が数枚貼られている掲示物も見えた。あたちは不思議に思って、それが良く見えるように、側に置かれた自転車に飛び乗りその掲示物を見つめた。
「これは…何にゃろにゃ?」
よく見るとその写真は、数頭の猫の顔写真だった。
あたちが不思議そうにその掲示物を覗き込んでいるその時、誰かに声をかけられた。



20140314120352706.jpg

「あんた誰にゃ?この辺りでは見ない顔にゃね」
「あにゃ!こんにちにゃ、あたちはちくわにゃ」
声のする方を見ると、キジサビ猫があたちを見上げていた。
あたちはその顔を見てハッとした。
その猫の顔は、掲示板に貼られている数頭の写真の中の一人だったからだ。
「何をそんなにびっくりしているんにゃ?」
「だ、だってにゃ、この写真にゃ…」
「にゃあ、それはあたしにゃ、他の写真は、あたちの仲間にゃ」
「にゃ、にゃ!な、なかま、にゃんて!」
あたちは、キジサビちゃんのこの言葉を聞いて、一つの想像が頭に浮かんだ。
そう思った瞬間、あたちの胸の鼓動が激しくなるのがわかった。
あたちは、キジサビちゃんがそうであるとわかってびびってしまったが、勇気を出して聞いみることにした。
「キ、キ、キジ…サビちゃんは、な、なにか…悪いことをして、逃げてるにゃん?」
「にゃ、にゃ、悪いこと?にゃんて?」
キジサビちゃんは、とても不思議そうに答えた。
あたちは、続いてあたちの思い込んでいることを口にした。
「そ、そうにゃ、たとえば、お魚屋さんのお魚を、ご、強奪したとか…にゃ」
「にゃあ〜、魚屋強盗にゃって!にゃ、はははは!」
キジサビちゃんは、お腹を抱えてとても愉快そうに笑った。
「にゃ、何でそんなこと思ったんにゃ?」
「だ、だってにゃ、この写真のにゃんこたちは、猫の凶悪犯の…指名手配写真にゃ!」
「これはにゃ、『魚屋強盗団』メンバーにゃん!」
あたちは、思っていることを遂に言い放った。
「はにゃあ〜、にゃ、にゃ、にゃ、にゃあ〜」
あたちのビビリをよそに、キジサビちゃんは、また愉快そうに大笑いした。
「ちくわちゃんだったよにゃ…面白いこと言うにゃね」
「あたちは、あんずにゃ、よろしくにゃ」
「にゃ、残念ながら、指名手配の凶悪犯じゃないけどにゃ」
あんずちゃんは、そう言うとくすっと笑った。



あんずちゃんは、この商店街で暮らす地域猫の一人だ。
町の野良猫の対策として、地域猫という活動がある。
野良猫の雌は、放っておくと一年の春と秋の二度出産をする。雌は、一度に3,4匹の仔猫を産むので、何かしら方策を講じないと、野良猫の数は、毎年増え続けていくことになる。
野良猫は、人間のゴミ置き場の残飯を荒らす、人の家の庭に入り込んで、うんちやおしっこをする。また、発情期の声がうるさい、交通事故に巻き込まれるので危険などの問題を引き起こすとされている。
地域猫とは、地域に住んでいる野良猫を排除して、これらの諸問題を解決するという考えではなく、野良猫と人間が同じ町で共生していくという考え方で、その活動は、野良猫を捕まえて避妊、去勢手術を施し、その後、その町に戻し食事や排泄場所を設置、その清掃や猫の管理を人間がすることである。
猫の避妊、去勢が済んだ目印として、耳の先端を少しカットして、済んでいない猫と区別する。避妊、去勢された野良猫は、一代限りで寿命をまっとうするので、野良猫の数は徐々に減っていく。
現在、全国で多くの動物愛護団体、NPO法人、ボランティアなどの様々な団体がこのような活動を行っている。
あんずちゃんの暮らす商店街では、自治体がこの活動に協力しているということだ。
掲示板に貼られた猫たちの写真は、地域の住民に地域猫の活動の趣旨や地域猫となった猫を紹介し、住民に認識してもらうために、市民有志の団体によって作成され、貼り出されたものだった。

「ちくちゃん、ここははじめてのようにゃね」
「これから、あたしが凶悪犯たちを紹介してあげるにゃ」
あんずちゃんは、そう言うと、ふふっと笑ってウィンクをした。
「そうにゃ、まずはここからにゃ」
あんずちゃんが蕎麦屋の裏口の窓に飛び乗った。あたちも後に続いた。
窓からは、お店の中が見渡せた。
「にゃ〜あ」
あんずちゃんが一声鳴くと、その声に反応して、部屋の窓枠に何かが現れた。
「にゃ、にゃ〜にゃあ」
それは見るとキジトラの長毛種だ。
「蕎麦屋の看板娘、こゆきちゃんにゃ」
あたちは、こゆきちゃんに挨拶を済ませると、商店街を歩だしたあんずちゃんの後を追った。
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ちくわ

Author:ちくわ
2010年5月生まれ、茶トラのにゃんこでちゅ。好きな食べ物はおでんの汁にゃ。よろちくわ!

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