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がりことぐれ猫たち~里親募集中~

病院1
ぐれ猫病院

大山駅を出ると、エーゲ海の白いギリシャ建築をイメージした商店街が目の前に広がる。商店街の建物は白で統一され、その歩道には、季節の花々のプラントが置かれ華やかな彩りを添えている。その中をしばらく進んで行くと、あたちが向かっている動物病院がある。
それは、『ぐれ猫病院』。
本当の名前は、『ファミリー動物病院』という犬猫の動物病院だが、あたちたち野良猫の間では、この病院のことをそう呼んでいる。
あたちは、この病院の言ってみれば卒業生ってとこだ。
あたちは、ここで、人間の里親を探して待機している野良猫の仔猫に、人間と暮らす前に人間と一緒に住むための心構えとか、注意すること、人間の生活のことなどを話して教えている。
今日はこの病院の先生からの依頼で、黒白の女の子と黒猫の男の子の二人に会うことになっている。
二人とも名前はまだない。二週間位前に、この病院に連れて来られた。生まれて二ヶ月位のとってもかわいい盛りだ。
仔猫のこの時期は、人間の里親を探すことにさほどの苦労はない。
なぜなら、仔猫をその手に抱いた人間は、その愛くるしい姿とあたたかい温もりに誰もが笑顔になり、この仔猫と一緒に暮らせたら、どんな幸せな日々が待っているだろうかと、想像せずにはいられないからだ。
動物の赤ちゃんのかわいらしさは、無償の愛を抱かせるが、猫の赤ちゃんのかわいらしさは、猫フェチにとっては、思わず飛びつきたくなるほどの心を揺り動かす存在なのである。
残念ながらかわいい赤ちゃんのこの時期は、瞬く間に過ぎてしまうが、何の心配も無用だ。
人はその頃には、『うちの猫が一番だ!』と親バカならぬ、『猫親バカ』と化しているからだ。
だから飼猫のいたずらなどは、猫の魅力に取り憑かれた『猫親バカ』にとっては、逆に自慢話のネタとなっているほどだ。
『うちのみ~ちゃんに引っ掻かれた傷よ!』などど、猫にしてやられた傷をどこか嬉しそうに話している人間は、猫好きなんて簡単な言葉では表すことはできない。
それは、言うならば猫に対する陶酔、フェチシズム、猫フェチだ。
世の中には、犬好きの人間も数多いが、犬はここまでにはならないだろう。
要するに猫は、それほど奥が深い動物なのである。
あれこれとそんなことを考えながら、暫く歩いて行くと、木の温もりを感じるナチュラルなインテリアのティールームのような店の前に着いた。
ここが『ぐれ猫病院』である。
あたちは入口の前で立ち止まり、ガラス戸を見上げた。そこには、ポスターが一枚貼ってある。
それを見ると、何匹かの野良猫たちの写真が貼られ、それぞれのプロフィールと里親募集中の案内が書かれている。
これを見る度にいつも思うことだが、ここの先生もかなりいかれている。
何にいかれているかって、それは勿論猫にだ。しかも野良猫に限っているようだ。
あたちが察するところ、先生は、かなり重症の野良猫フェチのようだな。
あたちがこの病院に出入りするようになって暫く経つが、ここで今までにお目にかかったのは、診察に来た犬と外から連れて来られた野良猫だけのような気がする。
ペットショップにいるような、あたちと種類の違う猫には、一度も出くわしたことがない。
「にゃ~あ、にゃ~あ」
あたちが病院のドアの前で開けてと鳴くと、奥から受付のおねえさんがドアを開けに出て来てくれた。ピンク色の可愛い白衣を着ている。
このおねえさんも野良猫にいかれている口だ。さすが、先生の所で働いているだけのことはある。
「ちくわちゃん、こんにちは。はい、どうぞ」
入口から病院の待合室に入る。そこは、外から燦燦と暖かい陽が差し込んでいる。
奥の部屋では、犬が気持ち良さそうにトリミングをしてもらっているのが見えた。犬はああいったことよくさせるものだとつくづく感心する。
「ちくわ!最低年に二回は、お前も風呂入らんと…」
おばちゃんはそう言って、あたちをお風呂場に連れて行きシャンプーをする。
「ぎゃ~ぁあ!!!」
お風呂場には悲鳴が轟き、逃げ回っているあたちに、容赦なく雨のようなシャワーが襲いかかる。
あたちは、一年の盆と暮れに行われる、如何ともし難いこのセレモニーが世の中から無くなることを望んでいる。

待合室の道路に面したガラス戸の前に、二階建てのゲージが置かれている。その中に、黒白と黒の仔猫が入っている。
可愛らしい仔猫たちは、日中ここで日光浴をし、表通りを歩く人間の目にとまるようにする。里親となってもらうようにアッピールするためだ。

病院の看板猫のなよこと野良の仔猫たち



黒白ちゃんは、上に行ったり下に行ったり、またそうかと思うとゲージの中にあるおもちゃで一心不乱に遊んでいる。先生から聞いた通り、とっても元気な子だ。
黒ちゃんは、それとは対照的で、ゲージの一階に置いてあるオレンジ色のフリースのベットの中で、のんびりとお昼寝をしている。
「二人とも、ちくわちゃんが来たわよ~」
受付のおねえさんはそう言うと、そのゲージに近づき、ゲージの鍵をあけてくれた。
それを見て、あたちはその中に入って行った。
「にゃ、にゃ、にゃ、にゃ~にゃあ」
黒白ちゃんがあたちを見て近づいて来た。思った通り、とっても活発な女の子だ。
「ふにゃ…」
黒ちゃんは、眠そうに薄目を開けて振り向いた。
受付のおねえさんの話によると、黒白のお転婆ちゃんは既に里親が決まり、今週末にはその家族が迎えに来ることになっている。新しいお家に行ったら、お転婆の黒白ちゃんのことだから、きっと何かしらの悪戯をしでかすことだろう。
里親が決まり、その家に引き取られた仔猫は、新しい環境に慣れるまでになにかしらの事件を、一つや二つ引き起こすものだ。
あたちは、黒白ちゃんのことが少し心配になったが、直にニンマリした。
人間にすれば仔猫の悪戯は、大概、後で笑い話になるものだからだ。
小さな仔猫が起こした最初の武勇伝として、『猫親バカ』の格好の自慢話となる。
そう考えると、やっぱり人間って少しも頭が良いとは言えない。
あたちたち猫の方が一枚上手だな。

「ふにゃ!だれにゃ…」
「ここにちゅれて、来られた…にゃ?」
黒白ちゃんが、あたちを見上げて声をかけた。
「あたちは、ちくわにゃ!今日は、二人に会いに来たんにゃ」
「二人とも直にここを出て、別の所に行くんにゃ」
「にゃ…、ずっと、ここに…いるんにゃにゃいにゃ?」
黒ちゃんがあくびをしながら言った。
「黒ちゃん、ここはずっと居られないんにゃよ」
「新しいお家が決まるまで、少しの間、お泊りするだけにゃ」
「あたら…ちい、おうち…?」
「そうにゃ、新しいお家は、人間の家にゃ」
「二人とももうすぐここを出て、人間の家で人間の家族と一緒に暮らすようになるんにゃ」
二階で遊んでいた黒白ちゃんが、いつの間にかあたちの隣にいた。
「ふにゃ!あたいは、もう何処へもいきちゃくにゃいにゃ!」
「ここ…とっても楽しいにゃ、ご飯もお腹一杯食べれるにゃ!」
「やにゃ!やにゃ!やにゃ!あたいは、どこにもいかにゃいにゃ!やにゃ~!」
「黒白ちゃん、そんなこと言っても、もう行くお家決まってるにゃよ」
「この前、見に来た人たちが黒白ちゃんの新しい家族にゃ」
「ふにゃ…、か…じょく?にゃんにゃ、それ?」
黒白ちゃんがとても不思議そうな顔をした。
「家族っていうのはにゃ、そうにゃね…、うれしいこと、楽しいこと、悲しいこと、これから生きていく上で起こるいろんな出来事を、一緒に喜んだり、悲しんだりして、お互いに支えあって生きていく仲間にゃんにゃ」
「これからは、黒白ちゃんも黒ちゃんも、人間の家族の一員となって生活をしていくにゃ」
「ふにゃ…、かじょく…。あたい、よくわかんにゃいにゃ!」
「二人とも、もう少し大きくなると、わかるようになるにゃ」
「ふにゃ!ちょれより、にゃんかちてあちょぶにゃ!」
少しもじっとしていられない黒白ちゃんは、そう言うとまた二階に駆け上がっていった。
あたちはその場に残った黒ちゃんに言った。
「そうにゃ、黒ちゃん、これからあたちがお話しをしてあげるにゃ」
「ふにゃ…、にゃんにょ…おはなしにゃ?」
「人間のことが大好きで、人間の家族を大切にしたがりこのお話しにゃ」
「がりこって…にゃんにゃ?」
「あたちたちと同じ猫にゃんにゃ」
「にゃんにゃ~、変にゃにゃまえにゃ~」
ゲージの上から降りて来て、あたちの隣に来た黒白ちゃんが言った。
「が、りこ…、がりこ…」
黒白ちゃんが言い、それに促されたように黒ちゃんも続いた。
「がりこ~、がりこぉ~、」
二人は、がりこというおかしな名前が気に入ったのか、それを連呼し始めた。
「がりこぉ~、がりこぉ~、がりこぉ~」
あたちは、それにお構いなしに話を始めた。
「がりこはにゃ、それは、それは…とっても人間が大好きだったんにゃ」
「がりこぉ、がりこ…、がり…こ、が…ふにゃ…」
二人の元気な合唱は、あたちが話し始めたのをきっかけに、いつの間にか止んでいた。
久しぶりの休日5
お転婆の黒白ちゃん
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Author:ちくわ
2010年5月生まれ、茶トラのにゃんこでちゅ。好きな食べ物はおでんの汁にゃ。よろちくわ!

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