スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

がりことぐれ猫たち~ぐれ猫仲間2

ジジくんとトムくんの二人は、とても気の合う雄猫同士だ。
何やらとっても楽しそうだが、どうやら最近とても気になるあの子たちのお話しらしい。
「トムくん、くるみちゃんているにゃん!あの豆腐屋の…」
「三毛子のくるみちゃんにゃ…あの子がどうしたにゃん」
「この前、デートに誘ったんにゃ?」
「隣町のぼくのお気に入りの草むらに遊びに行こうってにゃ」
「にゃにゃ、相変わらず、そういった行動は早いにゃあ、ジジは…それでどうなったんにゃ?」
「『あたし、草むらって…好きじゃにゃいの…体が汚れるにゃ』って、キッパリお断り、撃沈にゃ」
「ところで、トムくんはどうにゃんにゃ?この前言ってたあずきちゃんはにゃ?」
「にゃ、にゃ…それがにゃ…」
「にゃんにゃあ~トム、まだ声もかけていなんにゃ?」
「にゃ…そんなところにゃ…」
「お前の方は、相変わらず、クソ真面目にゃんだからにゃあ~」

真面目な優等生トムくん

トムくんはキジシロの猫。手足が白いので、白いソックスを履いているみたいに見えるのが、とってもかわいい。地図を見るのが大好きで、あたちたちの住む町の隣町から、人間の郵便配達車に便乗してここまでやってくる。
トムという名前は、あの人気漫画の『トム&ジェリー』からつけられたということだが、漫画の主人公と違って、シャイで生真面目な男の子だ。家では、ミモちゃんっていう三毛のお転婆の妹と一緒に暮らしている。

チャラ男のジジくん

ジジくんは、ぐれ猫病院出身で、あたちの一年後輩になる黒猫の男の子だ。性格はひょうきんな吉本系だが、ルックスはジャニーズ系なので、『ぼくは、結構モテるんにゃ』って話だが、これはあくまでも自称なので信用はできない。
面白くて調子が良いのは、チャラ男ってとこだな。
あたちと同じ、里親さんとの二人暮らしの母子家庭で、里親思いの優しい猫だ。

「やにゃあ~、みなさんお揃いで…にゃ!ぼくもお魚もらって来ようっとにゃ」
ジジくんはそう言うと、バイトのおねえさんにおねだりして、ヒラメをいただいて戻って来た。
あたちたちの輪にジジくんとトムくんが加わり、みんなは車座になってにぎやかに四方山話が始まった。
今日の話題は、最近ブームとなっている、『ねこカフェ』についてだ。
「トムくん、『ねこカフェ』ってあるにゃ!あれって何する所にゃ?」
「ちくちゃんあれはにゃ、人間がお茶を飲むティールームに、猫が何匹かいてにゃ…」
「その猫たちが、人間の遊び相手をする所にゃ」
「物好きな人間はにゃ、そこへお金を払って猫に戯れに行くにゃ」
「ぶにゃあ~、ば、ばふぇってぼとば…ビッャンコも…ぼいしいもん…い、いっばい…ばれべれるにゃ?」
「シャ!あ~ちゃん、魚ほうばってるから何言ってるかわからんにゃ!」
「すもちゃん、『カフェだからニャンコも美味しい物をいっぱい食べれるのかな?』って、言ってるにゃよ」
「にゃ、チョコねえさん、さすが一緒に暮らしてるから、あ~ちゃんの話わかるんにゃね」
「しかしにゃ、ニャンコが人間の遊び相手をするにゃんてにゃ!まったく最近の猫も落ちたもんにゃ!」
「猫っていうのは、本来、狩をして暮らす生き物にゃのに、情けにゃい話しにゃ」
縄張りの見回りに行っていたチョコねえさんもあたちたちの輪に合流した。
その時、みんなの話を黙って聞いていたジジくんが口を開いた。
「実はにゃ、ぼく、その『ねこカフェ』に行ったことがあるんにゃ」
「にゃにゃ~ジジ、それは始めて聞く話しにゃ、いつそこへ行ったんにゃ?」
「にゃにゃにゃ~ジジくん、いったいどんなとこだったにゃ、早く、早く教えてにゃ!」
興味津々のチェリーちゃんがジジくんに言った。。
「そこはにゃ〜、そりゃあ〜、とってもキャワいいニャンコたちがたくさんいたんにゃ」
ジジくんが『ねこカフェ』の話しを始めた。

そのねこカフェは、都心の中心地から少し離れた高級ベットタウンにあり、そのショッピングモールの中の一際目をひく、大きな5階建ての雑居ビルの一番上に店を構えていた。






スポンサーサイト

がりことぐれ猫たち~猫のルーツとぐれ猫仲間~

すもも
カッコツケマのすももねえさん

こどもの日5チェリー
にゃん格が変わった?チェリーちゃん

この地球上には、たくさんの生物、動物が存在する。
おかしな話しだと思うのだが、そのたくさんの生き物の中では、人間が中心となって存在しているようだ。
動物の分類も人間が勝手に決めその名前をつけた。
あたちたちには、猫という名前がつけられ、他の動物と分類されている。
猫科といわれるものには、アフリカに生息するライオン、チーター、豹、ジャガー、インドなどに生息する虎も大型の猫ということになっている。
あたちは、これらの動物たちをテレビではじめて見た時は、本当にびっくりしたものだ。
百獣の王と呼ばれるライオンの威厳に圧倒され、チーター、豹、ジャガーなどの流れるようなスタイリッシュなフォルムにうっとりし、虎の迫力に唖然となった。
あたちたち猫の起源は、今から1200万年前の存在していたヤマネコという野生の猫である。
そのヤマネコが人間によって家畜化され、人間と暮らすようになった。そして次第にそれがペット化していったと考えられている。そのペットとしての起源は、4000年前、古代エジプト時代にまで遡る。
どうやら、これがあたちたちのご先祖様にあたるようだ。

現代の猫の分類はどうであろうか。
野性の猫という祖先は同じなのに、人間の愛玩用に人為的に交配、繁殖させられ、品種独特の容姿、性格が作られ、ペットショップなどで販売されている純血種と、人の手によること無く外で暮らしている野良猫が自然に交配、繁殖していった野良猫というものに分類される。
野生の猫も希少だが存在している。日本では、八重山諸島の西表島に生息するイリオモテヤマネコ、長崎県の対馬に生息するツシマヤマネコというのがそれだ。これらは絶滅危惧種に指定されている。


ペット用に人為的に作られた猫は、純血種といって生まれた時から保護された環境下にあり、野性の本能が薄れている。
それに比べ、野良猫は外で生活するため危険と常に隣り合わせであり、野生の本能が強く残っている。
野良猫にの母親は、仔猫を産み暫くの間は共に行動し面倒をみるが、生後2ヶ月を過ぎた頃には、仔猫は親離れを促され自立していかなくてはならない。ここからは、一人立ちして人間社会の中を生きていかねばならないのだ。
だから、純血種のようにのほほんとは暮らしていけないのである。
あたちもあたちのおともだちも生まれは野良猫である。
ペットショップなので売られている純血種の猫たちは、生まれが確かな素性の良い猫だ。人間で喩えるなら、お家柄の良いお嬢ちゃま、お坊ちゃま、家系図ならぬ身元が保証された血統証がある。


それに対して、あたちたちのような野良の家柄は、先祖代々野良で生まれたのはそこいらの野原とか河原とか、公園とかどこかの家の軒下などだ。誰が親だったかさえわかりもしないのだから、当然、家系図なんて存在することはない。
あたちたちは、そんな野良猫のことをお育ちの良い血統証付き純血種の猫に対して、『ぐれ猫』と呼ぶことにしている。

あたちがボランティアに通う『ファミリー動物病院』は、野良猫の保護施設のようなもので、あたちたちの間では、ここを『ぐれ猫病院』と呼んでいる。病院は、春と秋の野良猫の出産シーズンになるととても大忙しだ。野良猫の仔猫たちがたくさんここに連れて来られるからだ。
この病院の先生は、前にも話したが野良猫にとても優しい。
ここに来た猫たちは、まず悪い病気がないかどうか先生の診察を受け、蚤や汚れをきれいにするためシャンプーをし、ご飯をいただき、里親が見つかるまで保護してもらうのだ。
そのような先生の無償の活動がいつしか口コミで広がり、今ではこの近所の人たちの手によって、自然に仔猫たちが集まって来るようになった。
そんなわけであたちもお友だちも仔猫の時にここへ来て、人間の里親が決まり、家猫として人と暮らすようになったのだ。

家猫になる経路は、ペットショップやブリーダーで販売されている純血種が人間に購入されていくものと、あたちたちのような野良猫に里親がつく場合がそれだ。
このような家猫に対して、外で暮らす飼主のいない猫のことを総称して野良猫と呼んでいる。
家猫の生活は、家の中でだけ過ごしている内猫と、あたちたちのように自由に外に出掛けていく外猫がいる。
あたちとお友だちたちは外猫で、このように外出してお互いの情報交換やコミュニケーションをとっている。
その様子は、人間の誰が言ったかわからないが、『猫の会議』といわれているようだ。
夕方になると公園や空地などで数頭の猫が集合しているが、それがこの事を指しているのだ。
そこではあたちたちは、いろいろな話をする。
最近の流行、里親の愚痴、趣味、猫の生き方、すずめの捕り方など、その話題は多岐にわたっている。時には、気になる女の子や男の子など、恋愛話も話題に上がる。
猫は、人間が考えている以上にインテリジェンスに富んだ高等動物なのである。

あたちたちぐれ猫仲間が集まる場所は決まっていて、その一つに寿司屋がある。
それは『さくら寿司』という宅配の寿司屋で、店の配達用のバイク置場になっている駐車場があたちたちの集会場だ。
ここは、寿司屋なのであたちたちの大好きな魚がたくさんあって、うれしいことにここのバイトのおねえさんとお兄ちゃんは、野良猫に優しく寿司ネタの残りのお魚をくれるので、あたちたちにとっても都合の良い場所なのである。

それでは、あたちたちのある日の『猫会議』の様子とあたちの仲間を紹介することにしよう。
あたちは、この日はあ~ちゃんを連れ立ってここにやって来た。
あ~ちゃんは、あたちの家の大家さん家に飼われている猫で、あたちの家とあ~ちゃんの家は隣同士であるので、今日は誘い合わせてやって来たのだ。
駐車場には、すももねえさんの姿があった。見ると大好物の中トロの端切れを美味しそうに食べている。
「あにゃ、しももねえさん、こんにちにゃ」
あたちの声に振り向いたすももねえさんが言った。
「にゃ、にゃ~あ!ちくわ!あたしは、すももにゃ~、しももにゃにゃいにゃ!」
「シャ!呼ぶなら、シモーヌにゃ!」
あたちは、2才になるが舌足らずですももをしももと発音してしまう。
すももねえさんの言う『シモーヌ』というのは、自分で決めた本人こだわりの名前だ。
すももねえさんは、あたちたちのグループのリーダー的な存在で、あたちと同じぐれ猫病院出身のあたちの一年先輩になる。

洋服を着せられショックを隠せないすももねえさん

毛色はキジトラ模様にサビのオレンジが全体にかかっていて、いかにも一筋縄ではいかない様子がうかがえる。
性格はキジトラのキツイ性格よりも、臆病なサビの性格が強そうだ。小さな物音でもびっくりしてその場で30センチは飛び上がるし、家に里親以外の人が来た時など、忍者のように低い姿勢でささっと隠れる。その様子は、この前テレビで見た自衛隊の匍匐前進のようだった。以前そのことが話題になり、みんなで揶揄したら本気で怒っていた。かなりの見栄っ張りでもあるが、どこかずっこけていてユニークだ。
特技は、絵を書くことで、美術のウンチクを語る。
大好きな里親のおねえちゃんがイラストレーターで、そのおねえちゃんの膝の上で絵を描くのを見ていたら、すももねえさんも絵が書けるようになったという話だ。家には、美術の全集があり、それらから美術の知識もたくさん得たようである。
そういったわけで、自称芸術家を気取っている。
『シモーヌ』という名前は、いかにもフランスっていう感じで、一言で言うなら『フランスかぶれ』ってとこだ。
頭頂部に黒の虎模様がくっきりと浮き出して見える。他の猫たちに言わせると、あれは『ハゲのカツラ』だと言われているが、本人はこう言って自慢している。
「あたしは、アーティストだからにゃ!これは、ベレー帽にゃんよ!」
すももねえさんにすれば、芸術家イコール画家、画家イコールベレー帽、こんな図式になるのだろう。
本当に、おかしなニャンコなのだ。

ハゲのカツラ?ベレー帽

「ちくわ!いったいあんたの舌足らずはいつ直るんにゃ!」
すももねえさんは、そう言うと今度はあたちと一緒にいたあ~ちゃんを見た。
「にゃ~あ~ちゃん、相変わらずデブにゃ、この前言ってたダイエットはしてるんにゃ?」
「あにゃ~すもたん、良い物食べてるにゃ~、あたしにも頂戴ぶにゃ!」
すももねえさんがご自慢の長い尻尾を振っているその隙に、あ~ちゃんが中トロを横取りした。
「こにゃああああ~、あ~ちゃん何するにゃ!」
「ぶにゃぶにゃ…、にゃ~これは美味しいにゃ、お魚のダイヤモンドにゃ…ぶにゃ」
あ~ちゃんは、美味しい中トロをあっという間にひと口で平らげ、幸せそうに感想を述べた。


食いしん坊のあ〜ちゃん

あ~ちゃんは茶トラのデブ猫だ。
茶トラなのだけど、お腹は丸い大きな渦模様となっている。これはアメリカンショートヘアの模様なので、どうやらあ~ちゃんは、アメショーと茶トラのハーフのようだ。
食べるのが大好きで、運動は大嫌い、その結果、おデブちゃんとなった。見るからにほのぼの癒し系ニャンコだ。
一応、グルメレポーターのつもりらしい。さしずめ猫界の彦摩呂か石塚ってとこだ。
食べるだけじゃなくて料理もする。いろんなキャットフードをミックスして新しい味を作る。人の食べる食材も盗んでアレンジするが、それがなかなかの好評を得ている。
「ちくわ、チョコねえさんはどうしたにゃ?」
気を取り直して冷静を取り戻した、すももねえさんが言った。
「チョコねえさんは、近所の見廻りに行ってるにゃ」
チョコねえさんは、あ~ちゃんと一緒の家に住んでいるキジトラ猫。
毎日縄張りの見廻りに出掛けて行く。よく怪我をして帰ってくることもある。いつかなんかは、顔面が腫れ凄い顔をしていたことがあった。聞くと雄猫と張り合って、顔面パンチをくらったということだった。そんなことがあっても全然めげる様子もなく、翌朝、何もなかったように出掛けて行くのである。これは、後日談であるが、その顔面パンチをくらわされた雄猫には、しっかり仕返ししたということだ。雄猫の急所に噛みついたらしい、半沢直樹もどき倍返しだ。
野生の本性で狩もする、前にモグラを取ったと言っていた。毎日出歩いているので、いろんなことを知っている情報通で、あたちたちの中では、最年長の経験豊富なニャンコだ。

雄猫にも闘いを挑む勇ましいチョコねえさん

「にゃあ~、ねえ、ねえ~みんなぁ、聞いて、聞いてにゃ!」
チェリーちゃんが慌ててやって来た。
「あにゃ、こんにちにゃ、チェリーちゃん!一体どうしたにゃん?」
「にゃ、聞いてにゃ…ちくちゃん、にゃ、その前にお腹空いてるから、何かもらってくるにゃ」
チェリーちゃんはそう言うと、寿司屋の厨房の入口までかけて行った。
チェリーちゃんもぐれ猫病院出身で、あたちの一年後輩になる、キジトラの女の子だ。
チェリーちゃんのお母さんは、ぐれ猫病院の近くにある小さな商店街の地域猫で、チェリーちゃんも病院で避妊手術が終わり、この商店街に戻されることになっていた。病院でとても良い子にしていたチェリーちゃんだったので、先生が商店街に戻すことを躊躇していた時に、里親が決まったのだ。右の耳が鋭角にカットされているのは、手術が済んだ目印だ。
生粋のキジトラなので、動きはとても俊敏で頭の回転も早い。
里親の家では、一階から三階まで一気に駆け上がり体を鍛えている。水にも興味があるようで、家のトイレの便器に飛び込んでは水遊びをしている。
バイトのおねえさんから魚をもらったチェリーちゃんが戻ってきた。
「ふにゃ~あ、にゃ、美味しいにゃ…生のお魚は、最高にゃね…」
よほどお腹が空いていたのか、チェリーちゃんはお魚を一気に平らげると、さっきの話の続きをはじめた。
「ねえ、ねえ、うちの里親なんだけどにゃ…単純で困るにゃ…」
「うちのおばちゃんもすごい単純にゃよ」
「ちくちゃん、うちのはにゃ…生命に危険を及ぼすほどの単純にゃのよ!」
チェリーちゃんは、少し大袈裟な所があるので話は半分だとしても、これは何かあるらしかった。
「ニャンコってさ…気ままだから、ご飯は食べたい時に、食べるにゃよね」
「シャ!そうにゃ!そんなことは、ニャンコの常識にゃ」
「あたしは、猫懐石しか食べにゃいけどにゃ、シャ!」
「そうでにゃよねえ~すももねえさん。でもうちの里親ったら、それがわからないらしくてにゃ…」
「にゃにゃ、チェリーちゃん、それはどういうことにゃ?」
「うちの里親ご飯出すでしょ、それをにゃ、その時に全部食べないと食欲がないと思うらしくてにゃ、後で食べようと残しておいた物をきれいに片付けちゃうにゃ」
「お陰であたしは、このところいつも腹ペコにゃんよ…」
「にゃにゃにゃ!それは、困ったにゃね。そういえば、チェリーちゃん、最近少し痩せたみたいにゃ…」
「顔つきもぐれ猫病院で始めてに会った時より、鋭くなった気がするにゃ」
「うちはたくさん人間が来るからにゃ、落ち落ちとはしていられにゃいんにゃ…しっかりしないとにゃ」


にゃん格変貌前?のほほんチェリーちゃん


「シャ!家にたくさんの人間が来るにゃって!恐ろしいことにゃ!くわばらくわばら…とんでもにゃいわ!」
臆病なすももねえさんが思わず言った。
見知らぬ人間が、あたしたちを見に家にやってくることがある。
その人間は、あたしたちの恐怖に一向にお構いなしに、なでたり抱っこしたり、本当に迷惑極まりない話しだ。
あたちたちはみんな、大なり小なりこんな里親にはそれぞれ悩まされている。
そこへトムくんとジジくんがやって来た。

がりことぐれ猫たち~里親募集中~

病院1
ぐれ猫病院

大山駅を出ると、エーゲ海の白いギリシャ建築をイメージした商店街が目の前に広がる。商店街の建物は白で統一され、その歩道には、季節の花々のプラントが置かれ華やかな彩りを添えている。その中をしばらく進んで行くと、あたちが向かっている動物病院がある。
それは、『ぐれ猫病院』。
本当の名前は、『ファミリー動物病院』という犬猫の動物病院だが、あたちたち野良猫の間では、この病院のことをそう呼んでいる。
あたちは、この病院の言ってみれば卒業生ってとこだ。
あたちは、ここで、人間の里親を探して待機している野良猫の仔猫に、人間と暮らす前に人間と一緒に住むための心構えとか、注意すること、人間の生活のことなどを話して教えている。
今日はこの病院の先生からの依頼で、黒白の女の子と黒猫の男の子の二人に会うことになっている。
二人とも名前はまだない。二週間位前に、この病院に連れて来られた。生まれて二ヶ月位のとってもかわいい盛りだ。
仔猫のこの時期は、人間の里親を探すことにさほどの苦労はない。
なぜなら、仔猫をその手に抱いた人間は、その愛くるしい姿とあたたかい温もりに誰もが笑顔になり、この仔猫と一緒に暮らせたら、どんな幸せな日々が待っているだろうかと、想像せずにはいられないからだ。
動物の赤ちゃんのかわいらしさは、無償の愛を抱かせるが、猫の赤ちゃんのかわいらしさは、猫フェチにとっては、思わず飛びつきたくなるほどの心を揺り動かす存在なのである。
残念ながらかわいい赤ちゃんのこの時期は、瞬く間に過ぎてしまうが、何の心配も無用だ。
人はその頃には、『うちの猫が一番だ!』と親バカならぬ、『猫親バカ』と化しているからだ。
だから飼猫のいたずらなどは、猫の魅力に取り憑かれた『猫親バカ』にとっては、逆に自慢話のネタとなっているほどだ。
『うちのみ~ちゃんに引っ掻かれた傷よ!』などど、猫にしてやられた傷をどこか嬉しそうに話している人間は、猫好きなんて簡単な言葉では表すことはできない。
それは、言うならば猫に対する陶酔、フェチシズム、猫フェチだ。
世の中には、犬好きの人間も数多いが、犬はここまでにはならないだろう。
要するに猫は、それほど奥が深い動物なのである。
あれこれとそんなことを考えながら、暫く歩いて行くと、木の温もりを感じるナチュラルなインテリアのティールームのような店の前に着いた。
ここが『ぐれ猫病院』である。
あたちは入口の前で立ち止まり、ガラス戸を見上げた。そこには、ポスターが一枚貼ってある。
それを見ると、何匹かの野良猫たちの写真が貼られ、それぞれのプロフィールと里親募集中の案内が書かれている。
これを見る度にいつも思うことだが、ここの先生もかなりいかれている。
何にいかれているかって、それは勿論猫にだ。しかも野良猫に限っているようだ。
あたちが察するところ、先生は、かなり重症の野良猫フェチのようだな。
あたちがこの病院に出入りするようになって暫く経つが、ここで今までにお目にかかったのは、診察に来た犬と外から連れて来られた野良猫だけのような気がする。
ペットショップにいるような、あたちと種類の違う猫には、一度も出くわしたことがない。
「にゃ~あ、にゃ~あ」
あたちが病院のドアの前で開けてと鳴くと、奥から受付のおねえさんがドアを開けに出て来てくれた。ピンク色の可愛い白衣を着ている。
このおねえさんも野良猫にいかれている口だ。さすが、先生の所で働いているだけのことはある。
「ちくわちゃん、こんにちは。はい、どうぞ」
入口から病院の待合室に入る。そこは、外から燦燦と暖かい陽が差し込んでいる。
奥の部屋では、犬が気持ち良さそうにトリミングをしてもらっているのが見えた。犬はああいったことよくさせるものだとつくづく感心する。
「ちくわ!最低年に二回は、お前も風呂入らんと…」
おばちゃんはそう言って、あたちをお風呂場に連れて行きシャンプーをする。
「ぎゃ~ぁあ!!!」
お風呂場には悲鳴が轟き、逃げ回っているあたちに、容赦なく雨のようなシャワーが襲いかかる。
あたちは、一年の盆と暮れに行われる、如何ともし難いこのセレモニーが世の中から無くなることを望んでいる。

待合室の道路に面したガラス戸の前に、二階建てのゲージが置かれている。その中に、黒白と黒の仔猫が入っている。
可愛らしい仔猫たちは、日中ここで日光浴をし、表通りを歩く人間の目にとまるようにする。里親となってもらうようにアッピールするためだ。

病院の看板猫のなよこと野良の仔猫たち



黒白ちゃんは、上に行ったり下に行ったり、またそうかと思うとゲージの中にあるおもちゃで一心不乱に遊んでいる。先生から聞いた通り、とっても元気な子だ。
黒ちゃんは、それとは対照的で、ゲージの一階に置いてあるオレンジ色のフリースのベットの中で、のんびりとお昼寝をしている。
「二人とも、ちくわちゃんが来たわよ~」
受付のおねえさんはそう言うと、そのゲージに近づき、ゲージの鍵をあけてくれた。
それを見て、あたちはその中に入って行った。
「にゃ、にゃ、にゃ、にゃ~にゃあ」
黒白ちゃんがあたちを見て近づいて来た。思った通り、とっても活発な女の子だ。
「ふにゃ…」
黒ちゃんは、眠そうに薄目を開けて振り向いた。
受付のおねえさんの話によると、黒白のお転婆ちゃんは既に里親が決まり、今週末にはその家族が迎えに来ることになっている。新しいお家に行ったら、お転婆の黒白ちゃんのことだから、きっと何かしらの悪戯をしでかすことだろう。
里親が決まり、その家に引き取られた仔猫は、新しい環境に慣れるまでになにかしらの事件を、一つや二つ引き起こすものだ。
あたちは、黒白ちゃんのことが少し心配になったが、直にニンマリした。
人間にすれば仔猫の悪戯は、大概、後で笑い話になるものだからだ。
小さな仔猫が起こした最初の武勇伝として、『猫親バカ』の格好の自慢話となる。
そう考えると、やっぱり人間って少しも頭が良いとは言えない。
あたちたち猫の方が一枚上手だな。

「ふにゃ!だれにゃ…」
「ここにちゅれて、来られた…にゃ?」
黒白ちゃんが、あたちを見上げて声をかけた。
「あたちは、ちくわにゃ!今日は、二人に会いに来たんにゃ」
「二人とも直にここを出て、別の所に行くんにゃ」
「にゃ…、ずっと、ここに…いるんにゃにゃいにゃ?」
黒ちゃんがあくびをしながら言った。
「黒ちゃん、ここはずっと居られないんにゃよ」
「新しいお家が決まるまで、少しの間、お泊りするだけにゃ」
「あたら…ちい、おうち…?」
「そうにゃ、新しいお家は、人間の家にゃ」
「二人とももうすぐここを出て、人間の家で人間の家族と一緒に暮らすようになるんにゃ」
二階で遊んでいた黒白ちゃんが、いつの間にかあたちの隣にいた。
「ふにゃ!あたいは、もう何処へもいきちゃくにゃいにゃ!」
「ここ…とっても楽しいにゃ、ご飯もお腹一杯食べれるにゃ!」
「やにゃ!やにゃ!やにゃ!あたいは、どこにもいかにゃいにゃ!やにゃ~!」
「黒白ちゃん、そんなこと言っても、もう行くお家決まってるにゃよ」
「この前、見に来た人たちが黒白ちゃんの新しい家族にゃ」
「ふにゃ…、か…じょく?にゃんにゃ、それ?」
黒白ちゃんがとても不思議そうな顔をした。
「家族っていうのはにゃ、そうにゃね…、うれしいこと、楽しいこと、悲しいこと、これから生きていく上で起こるいろんな出来事を、一緒に喜んだり、悲しんだりして、お互いに支えあって生きていく仲間にゃんにゃ」
「これからは、黒白ちゃんも黒ちゃんも、人間の家族の一員となって生活をしていくにゃ」
「ふにゃ…、かじょく…。あたい、よくわかんにゃいにゃ!」
「二人とも、もう少し大きくなると、わかるようになるにゃ」
「ふにゃ!ちょれより、にゃんかちてあちょぶにゃ!」
少しもじっとしていられない黒白ちゃんは、そう言うとまた二階に駆け上がっていった。
あたちはその場に残った黒ちゃんに言った。
「そうにゃ、黒ちゃん、これからあたちがお話しをしてあげるにゃ」
「ふにゃ…、にゃんにょ…おはなしにゃ?」
「人間のことが大好きで、人間の家族を大切にしたがりこのお話しにゃ」
「がりこって…にゃんにゃ?」
「あたちたちと同じ猫にゃんにゃ」
「にゃんにゃ~、変にゃにゃまえにゃ~」
ゲージの上から降りて来て、あたちの隣に来た黒白ちゃんが言った。
「が、りこ…、がりこ…」
黒白ちゃんが言い、それに促されたように黒ちゃんも続いた。
「がりこ~、がりこぉ~、」
二人は、がりこというおかしな名前が気に入ったのか、それを連呼し始めた。
「がりこぉ~、がりこぉ~、がりこぉ~」
あたちは、それにお構いなしに話を始めた。
「がりこはにゃ、それは、それは…とっても人間が大好きだったんにゃ」
「がりこぉ、がりこ…、がり…こ、が…ふにゃ…」
二人の元気な合唱は、あたちが話し始めたのをきっかけに、いつの間にか止んでいた。

続きを読む»

がりことぐれ猫たち

fc2blog_201401011701573a3.jpg

がりことぐれ猫たち

プロローグ・能ある猫は爪を隠す

人間は、猫のことをどう思っているのだろうか…。
あたちと一緒に暮らしているおばちゃんは、猫には、大した能力などないと思って猫のことを馬鹿にしている。
「所詮、猫だ!」
だから、『猫が芸をした』と聞くとそれだけで凄く感動している。
『あ、あの猫が芸を!』と、本当に馬鹿みたいに感動しているのだ。
これは、ある日のことだ。
おばちゃんは、テレビでロシアのサーカスだったか、芸をする猫を見た。その時など、案の定、感動のあまり涙目になっていたほどだ。
おばちゃんにすれば、猫は多少の運動能力に優れ、人間の言葉を少し理解できる。その程度にしか思っていないようだ。
だから、本当は、猫には、もっと優れた能力があると知ったら、さぞかしびっくりして腰を抜かすに違いない。
あたちがおばちゃんと呼んでいるのは、人間の中高年のおばちゃんだ。野良猫だったあたちの里親なのである。
あたちは、今、このおばちゃんと二人で暮らしている。
ちくわという名前は、そのおばちゃんが名付けた。
その理由は、いたって単純だ。
あたちの毛の色の模様が、紀文だか何だか知らないが、おでん種の竹輪の柄だからというのがその理由なようだ。
「竹輪の猫だからちくわ」まったく発想が貧弱過ぎて苦笑いっていうとこだが、取り立てて騒ぐほどでもない。
あたちたち猫は懐が大きいのだ。
この話のついでに思い出したことだが、おばちゃんは以前酔払った勢いで、このあたちのことを紀文に売り込んこんだことがある。
あたちが小さい頃、おばちゃんが面白がって、竹輪とあたちを並べて撮った写真がある。
その写真を紀文の広報に送りつけた。紀文の竹輪のコマーシャルに、あたちを使って欲しいと手紙を添えてだ。
まったくやることが見え見えだ。猫ブームに乗って、一攫千金、あたちを売り込もうと画策したのだ。
〝ステージママ〟ならぬ〝ステージおばちゃん〟となって楽をして暮らそうという考えなのだ。
この作戦は、残念ながら功を奏するわけもなく、おばちゃんは、相変わらずの貧乏暮らしを続けている。

竹輪のCMイメージ(おばちゃん制作)

これはあたちに言わせれば、『ねこの手も借りたい』という、誠に失礼なことわざにもあるが、鼠しか取る以外に能力がないと思われている猫に、生活費を助けてもらうなどという考えはもってのほかってことだ。
こんな一風変わったおばちゃんとの生活だが、あたちは特に不満を言うわけでもなく、穏やかに暮らしている。
あたちは茶トラの猫である。
何かで読んだが、茶トラの猫の性格は『事なかれ主義』が多いらしい。
だからと言うわけではないが、あたちは、揉め事がきらいで、ものごとにけじめをつけるのが苦手なような気がする。
良く言うなら、長い物には巻かれろ的な、平和主義っていうところだ。

あたちは、おばちゃんと一緒に暮らすようになって、人間の生活というものがわかってきた。
人間の話す言葉も理解できるようになったし、文字の読み書きもできるようになった。
人間の家は実に沢山の物に溢れている。そのほとんどが、あたちたち動物には必要の無いものだが、その中には役に立つ物もある。


おばちゃんは、日中仕事に出掛けて夕方に帰って来る。あたちはその留守の間に、部屋の中にある機器をいじっているうちにそれを使えるようになった。
これはあたちだけではなくて、あたちの友だちたちもみんなそうだ。それぞれに、好みや趣味の違いで、得意分野というものは違うが、人間が作り出した物を理解したり、操作することは難しいことではないのだ。
これまであたちは、部屋にある本を読み、テレビでいろいろな事を知り、パソコンを操作し自分のブログを開設、また、時には音楽を聞いたりと、興味あることは一通りできるようになった。
猫は、爪とぎと昼寝だけだと思っているなら、それは人間が勝手にきめつけたことで、猫の名誉のために言っておくがそれは大きな間違いである。
では、何でその能力のあることを、公表しないのか…。
それは、猫は単純な人間のように、自分の能力をひけらかすことなど、馬鹿馬鹿しくてしないだけのことだ。
『能ある猫は爪を隠す』とでも言えばいいのだろうか。
そういえば、あたちは部屋の本棚にあった本を読んで、ただならぬ衝撃を覚えたことがあった。
猫にも文才はいるものだ。
その本の名は、『吾輩は猫である』。文豪夏目漱石に飼われていた猫が書いた本だ。
あたちも、いつかこのにゃんこ先生のような小説家になりたいと思っている。

ブログ更新するにゃ、ネタ探しもしないとにゃ


生後3ヶ月で「吾輩は猫である」を読む


ニャンコ先生は凄いにゃ!

あたちは、家の中にばかりいるだけでなく、おばちゃんに内緒で、外に出掛けて行くこともある。
出掛けるようになって、あたちと同じ境遇の猫たちと知り合い友だちになった。その気の合う猫仲間との情報交換のひと時は、とても楽しい時間だ。
そして他にも、気分転換に町を散策したりして、暇どころか、本当に毎日忙しく過ごしているのが現実だ。
そんな日常を送っているあたちだが、最近ボランティアというものを始めた。
猫界のお役に立てばと、動物病院で仔猫の世話をすることにしたのだ。
今日は、その週に一度のボランティアの日だ。
あたちは、おばちゃんが出掛けたのを確認すると、その動物病院に向った。

おめでとうごにゃいますにゃ!





あけましておめでとうごにゃいまちゅ!

ブログ新装オープンしまちた。
よろちくお願いいたちまちゅ
良い一年となりますようお祈りしておりまちゅ
プロフィール

ちくわ

Author:ちくわ
2010年5月生まれ、茶トラのにゃんこでちゅ。好きな食べ物はおでんの汁にゃ。よろちくわ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。